紅葉坂プロジェクト

紅葉坂プロジェクト
2021年から音楽堂が放つ新シリーズ「新しい視点」。「紅葉坂プロジェクト」はクラシック音楽の常識、音楽の概念そのものを転回するアイデアを、企画委員の審査で選ぶ公募プログラム。未来の音楽シーンを切り拓く、キラリと光るアイデアが、皆様との出会いを経て成長していく過程をぜひ、応援してください!

Vol.3 本公演

日時

2024/7/20(土)15:00 開演(14:15 開場)

会場

神奈川県立音楽堂 ホール

料金

全席自由・税込 一般2,000円 シルバー(65歳以上)1,500円
U24(24歳以下)1,000円 高校生以下無料
車椅子席 2,000円(付添席1名無料)
KAme先行:2024/5/17(金) 一般発売:2024/5/18(土)

*未就学児の入場はご遠慮ください。
*シルバー、U24、高校生以下、車椅子(付添)は、チケットかながわのみで取扱い。無料券も含め、枚数限定、要事前予約。引き取り方法により手数料がかかります。
*チケット取扱:
 チケットぴあ[Pコード:270-454]
 イープラス
 ローソンチケット[Lコード:33401]

お問い合わせ

チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)

主催

神奈川県立音楽堂(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)

助成

文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
公益財団法人野村財団
公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション

シャトルバス

予約不要・運賃無料でJR桜木町駅前バスターミナルからシャトルバスを運行します。
乗り場はこちらをご覧ください。公演によって運行時間が異なります。
本公演の桜木町駅発車時間:①14:05 ②14:35

託児サービスあり

(有料・チケット発売日~公演1週間前までに要事前予約)
【お問い合わせ・申込先】
株式会社明日香
TEL 0120-165-115(土日祝日を除く10:00~17:00)
予約フォームはこちら

#1 マキシマム電子合唱団
マキシマム
#1 マキシマム電子合唱団
マキシマム

企画説明

マキシマム電子合唱団は、独自に開発した様々な楽器を操りながら演奏する声とエレクトロニクス、生楽器が融合した新しいタイプの合唱団です。合唱メンバーは、様々な楽器演奏のエキスパート達で構成され、歌と楽器を交互に演奏し、発声は地声を重視した新しい表現を探究します。
合唱団に登場する新しい楽器には、まるで演奏者から音の出ているかのようなウェアラブルガジェットや、特殊音律リアルタイム音程可変装置Isobe-Tune、指向性スピーカーIsobe-Shot、その他様々な特殊スピーカーなどがあり、それらを用いて合唱と生楽器とエレクトロニクスから生まれる人間の創造力と現代の最新技術を融合させた公演を行います。

【演奏曲目】
星谷丈生:電子合唱団と複数の楽器のための《菩提樹の詩》
磯部英彬:電子合唱団と複数の楽器のための《幸せの缶詰》

【出演】
合唱:亀井庸州(尺八、ヴァイオリン)、多井智紀(楽具)、近藤圭(ホルン)、菊地秀夫(クラリネット)、今井貴子(フルート)、高瀬真吾(打楽器)、迫田圭(ヴァイオリン)、星谷丈生、磯部英彬(エレクトロニクス)ほか

【スタッフ】
舞台美術:上原永美(舞台美術)、映像、電子デバイス制作:秋山大知、ヘアメイク:山内美里 (nico organic & relaxing)

プロフィール

マキシマム
Maximum

マキシマムは、作曲家、楽器製作者である磯部英彬が主催するエレクトロニクスとアコースティック楽器による可能性を探究する団体です。新しい楽器を発明、または既存楽器を改良してこれまで計8回のコンサートを開催し、様々な音楽家との協働作業を行ってきました。近年は、星谷丈生とともにIsobe-RailやHoshiya-Boardなどを開発。また2023年8月から学校教育向けのICT活用セミナーも行っています。

亀井庸州
Yoshu Kamei (合唱、尺八、ヴァイオリン)

2000年ごろから同世代の作品初演を中心に活動を開始。ベルギー王立リエージュ音楽院において、欧州の20世紀音楽や即興演奏を学ぶ。帰国後も同世代の作品初演に携わり、個人企画ほか都内主要ホール主催公演に出演し、作曲家の初演、再演を中心として活動している。また尺八の古典をはじめとした演奏を行なっている。

多井智紀
Tomoki Tai (合唱、楽具)

大阪生まれ、住吉区東住吉区育ち。チェロ科入学のため18歳で上京。以来20年放送業界レコーディング業、新曲実演、演奏会企画、自作楽器制作を行ってきた。チェロの他ヴィオラ・ダ・ガンバ、コイルチェロ、自作鞴、自作電気楽器を演奏する。

近藤圭
Kei Kondo (合唱、ホルン)

東京生まれ。東京大学附属中等教育学校卒業。広島大学教育学部音楽文化系コース(ホルン専攻)卒業後、東京学芸大学大学院を音楽教育(作曲)で修了。
これまでに古楽器をフィーチャーした『忘れられた楽器展』、現代曲のみでプログラムを構成するホルンリサイタル『問う』シリーズなどを主催。アーツカウンシル東京 令和2年度 第1期 東京芸術文化創造発信助成対象企画に選出。

菊地秀夫
Hideo Kikuchi (合唱、クラリネット)

桐朋学園大学卒業。日本現代音楽協会主催コンクール「競楽Ⅱ」にて第2位。ドイツ・ダルムシュタット音楽祭にて奨学生賞受賞。アンサンブル・ノマドの設立当初からのメンバーとして活動し現在に至る。また、星谷丈生氏と音楽企画・演奏ユニット「OFFICE でく」を設立。国立音楽大学及び尚美学園大学非常勤講師。

今井貴子
Takako Imai (合唱、フルート)

桐朋学園大学卒業後、渡仏。世界的フルート奏者のパトリック・ガロワの元で鍛錬を積み、Aulnay-sous-Bois 音楽院を一等賞を得て修了。欧州にて長きに渡り活動を行う。2022年より活動の拠点を日本に移し、バロックから新作初演まで、新しい響きの中で活動を繰り広げている。

高瀬真吾
Shingo Takase (合唱、打楽器)

東京音楽大学を開学以来初の三年早期卒業。カールスルーエ音楽大学大学院修士課程を修了後、平成29年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修としてカールスルーエ音楽大学大学院ソリスト科を修了。第3回三島現代音楽祭において、マイク・スヴォボダ作曲スネアドラム協奏曲を世界初演。

迫田圭
Kei Sakoda (合唱、ヴァイオリン)

東京音楽大学コンクール入選、第28回市川市新人演奏家コンクール弦楽器部門最優秀賞。プロジェクトQ第10章に参加。現在、おーけすとら・ぴとれ座にてコンサートマスターを務めている他、オーケストラトリプティーク、Green Room Playersにヴァイオリン、ヴィオラ奏者として在籍している。

上原永美
Emi Uehara (舞台美術)

一級建築士。株式会社上原一級建築士事務所 代表取締役社長。椙山女学園大学非常勤講師。
マキシマムでは演奏会の舞台建築美術・デザイン・オブジェ等を担当。
プロダクトから大小問わず空間の設計・デザインを行う。

秋山大知
Daichi Akiyama (映像、電子デバイス制作)

音響・映像エンジニア。エレクトロ・音楽ユニットmacaroomにて、エレクトロニクス担当。また、エレクトロニクス奏者として、現代音楽、実験音楽や即興等の音楽家ともコラボレーションをしている。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科非常勤講師。

#2 音楽が「ぬ」とであふとき
小倉美春&上條晃
#2 音楽が「ぬ」とであふとき
小倉美春&上條晃

企画説明

「風立ちぬ」に代表される古代語の「ぬ」。日常生活では使われなくなってしまったこの言葉が持つ、さまざまな息づかいを作曲で掬う企画です。「ぬ」の回転そのものが遊んでいるような新作弦楽トリオ、「ぬ」の付く言葉たちが殆ど聞き取れない速さで駆け抜けていく声のための即興的新作、「ぬ」が本来持っていたゆったりとした流れを想い起こす《Zerfließen…》、「ぬ」が「ぬ」になるまでの経過を追随するような《「ぬ」についての考察I》。そこに、音象徴としての「ぬ」、身振りとしての「ぬ」をも交えた舞台作品を、一流の演奏家陣とともにお届けします。「ぬ」から力を得た音楽が、「ぬ」へと還っていくきっかけになればと思います。

  あなたの「ぬ」を教えてください!

  あなたの「ぬ」が採用されるかもしれません!

  「ぬ」アンケート https://forms.gle/zKQ9mc6DocKNXas98

【演奏曲目】

小倉美春:
入りまじるくるり:「ぬ」についての考察II ~弦楽三重奏のための~(2024、世界初演)
短く速くくるり:「ぬ」についての考察III ~3声のための~(2024、世界初演)
ゆつくりとながいくるり:Zerfließen… ~アコーディオンとクラリネットのための~(2022、日本初演)
短くもながいくるり:「ぬ」についての考察I ~アンサンブルのための〜(2023、世界初演)

【出演】
ソプラノ:薬師寺典子、溝淵加奈枝 テノール:金沢青児 ヴァイオリン:河村絢音
ヴィオラ:河相美帆 チェロ:山澤慧 クラリネット:片山貴裕
トロンボーン:直井紀和 アコーディオン:大田智美 指揮:金井俊文

トーク出演:髙須蘭(フルート) 小池優華(フルート)

【スタッフ】
後藤天(映像) 窪田翔、小林瑞季、難波芙美加(舞台)

プロフィール

小倉美春&上條晃

小倉美春 
Miharu Ogura
ドイツ・フランクフルトを拠点とするピアニスト・作曲家。
2023年メシアン国際ピアノコンクールにて第2位・メシアン作品最優秀演奏賞を受賞するなど、ピアノと作曲の両方で入賞多数。ラジオ・フランス及びヴェネツィア・ビエンナーレなどから委嘱を受ける。2023年度ロームミュージックファンデーション奨学生。

上條晃 
Akira Kamijo
東京音楽大学付属高等学校国語科教諭。歌人。東京外国語大学外国語学部(ドイツ語専攻)、同大学院地域文化研究科修了。研究課題は一般教科と音楽の架橋。「古代語の「ぬ」と演奏 ― 東京音楽大学付属高等学校における国語教育の試みと展望 Ⅱ― 」(東京音楽大学研究紀要第46集)。短歌を馬場あき子に師事。

薬師寺典子
Noriko Yakushiji (ソプラノ)

東京藝術大学声楽科卒業後、ベルギーで学ぶ。ブリュッセル王立音楽院修士課程、ゲント王立音楽院上級修士課程現代音楽科、現代音楽アンサンブル Ictusアカデミー修了。現代音楽コンクール「競楽 XIII」第三位受賞。現代音楽を主なレパートリーとする傍ら、観世流能楽師の関根知孝氏に謡を師事。

溝淵加奈枝
Kanae Mizobuchi (ソプラノ)

香川県高松市出身。国立音楽大学卒業後、ストラスブール地方音楽院およびシュトゥットガルト音楽・演劇大学にて研鑽を積む。これまでにMaerzmusik、ドナウエッシンゲン音楽祭、ircam マニフェスト音楽祭などに参加。近年は即興や作品制作、アートフェスティバルのキュレーションなど幅広く活動している。

金沢青児
Seiji Kanazawa (テノール)

東京藝術大学大学院在学中の2017年、藝大フィル合唱定期演奏会にてバッハ《ミサ曲ロ短調》ソリストを務める。修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。2021年、クルシェネクの室内オペラ《信じること、その値段は》に出演。バロックから現代音楽まで幅広く活躍し、新作初演・日本初演も多数こなす。声楽アンサンブル「ヴォクスマーナ」メンバー。

河村絢音
Ayane Kawamura (ヴァイオリン)

桐朋女子高等学校音楽科を卒業後、パリ国立高等音楽院第一、第二課程ヴァイオリン専攻、第三課程現代音楽演奏科、フランクフルト音楽大学修士課程、東京藝術大学音楽研究科博士後期課程を修了し、博士(音楽)を取得。欧州の主要な現代音楽祭に出演する他、エレクトロニクス作品の演奏・研究に携わる。kasane主宰。

河相美帆
Miho Kawai (ヴィオラ)

桐朋学園大学音楽学部、フランクフルト音楽大学修士課程、IEMA修了。アンサンブル・モデルンやダルムシュタット州立歌劇場に首席奏者として定期的に客演する等、ドイツを拠点に活動の場を広げている。多様な文化や価値観にふれるなかで培った洞察力や柔軟性とともに一つ一つの作品と向き合うことを大切にしている。

山澤慧
Kei Yamazawa (チェロ)

古典作品の勉強を地道に重ねながら、現代音楽の演奏や作曲家への委嘱を積極的に行い、チェロの可能性を探求し続けている。
音川健二、藤沢俊樹、河野文昭、西谷牧人、鈴木秀美、山崎伸子、M.Kasperの各氏に師事。
藝大フィルハーモニア管弦楽団首席チェロ奏者、千葉交響楽団契約首席チェロ奏者。

片山貴裕
Takahiro Katayama (クラリネット)

東京藝術大学音楽学部卒業。ベルリン ハンス アイスラー音楽大学修士課程を最高点で修了後、パリ国立高等音楽院にて現代音楽とバスクラリネットを学ぶ。ヴィラムジカ財団およびルツェルン音楽祭アカデミー生。アンサンブル アンテルコンタンポラン、ブーレーズアンサンブル、読売日本交響楽団などにエキストラとして出演。

直井紀和
Norikazu Naoi (トロンボーン)

バーゼル音楽大学修士課程修了。バーゼル交響楽団の研修生を経て、2016年ブランデンブルク州立歌劇場コトブス2/3番奏者の契約団員として在籍。
現在は日本に活動拠点を移し、その活動は古楽から現代まで多岐に渡る。現在MCFオーケストラとちぎトロンボーン奏者、尚美ミュージックカレッジ専門学校非常勤講師。

大田智美
Tomomi Ota (アコーディオン)

幼少期よりアコーディオンを始め、国立音楽大学附属音楽高等学校ピアノ科卒業後渡独。
フォルクヴァンク芸術大学アコーディオン科ソリストコースを満場一致の首席で卒業、ドイツ国家演奏家資格を取得。御喜美江に師事。帰国後はクラシックや現代作品を中心とした幅広い演奏活動によりこの楽器の魅力と可能性を発信している。

金井俊文
Toshihumi Kanai (指揮)

欧州と日本を中心に指揮者として活動中。
桐朋学園大学、洗足学園音楽大学大学院、リスト音楽院大学院で学び、ハンガリー国立ブダペスト・オペレッタ劇場の副指揮者を経て、現在ハンガリー・ソルノク市立交響楽団正指揮者。
これまでにアラム・ハチャトゥリアン国際指揮者コンクールにて特別賞、上毛芸術文化賞、外務省在外公館長賞を受賞。

後藤天
Ten Goto (映像)

イメージフォーラム付属映像研究所、多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)修了。さっきょく塾元塾生。現代音楽の演奏会、美術分野のワークショップ、レクチャー等の記録映像の撮影と編集のほか、商業施設や映像のためのサウンドデザインなどを行っている。株式会社わっしょい取締役。

髙須蘭
Ran Takasu (トーク出演、フルート)

2005年生まれ。8歳よりフルートを始める。全日本学生音楽コンクール全国大会中学の部第2位、静岡県学生音楽コンクール 管楽部門 中学生の部・高校生の部、日本ジュニア管打楽器コンクール高校生コース、全日本ジュニアクラシック音楽コンクール 高校生の部、第1位 現在上野星矢、竹澤栄祐の各氏に師事する。現在、東京藝術大学一年次に在学

小池優華
Yuka Koike (トーク出演、フルート)

8才よりフルートを始める。 第77回全日本学生音楽コンクールフルート部門高校生の部東京大会第1位、全国大会第1位ならびにNHK会長賞、音楽奨励賞。 第43回霧島国際音楽祭賞ならびに堤剛音楽監督賞。これまでに伊東あみ、上野星矢、工藤重典の各氏に師事。現在、東京音楽大学付属高等学校2年生特別特待奨学生。

Vol.4 ワークインプログレス

Vol.4の採択企画

Vol.4に向けては、16企画の応募があり、その中から、委員長・沼野雄司、企画委員・濱田芳通、湯山玲子によって、2企画が採択されました。
2025年3月8日(土)開催のワークインプログレス(公開プレゼンテーション)を経て、7月19日(土)に本公演を迎えます。

【採択企画】
北爪裕道&深見まどか/Ravel Unveiled
nezumi(高橋宏治)/レクチャーパフォーマンスオペラ『音楽を聴く』(仮)
(五十音順)

●3/8(土)ワークインプログレスでは、こんなことを行います!
①2組のアーティストによる企画案のプレゼンテーション・演奏
②企画委員によるコメント
③モニター観客⇔アーティスト 質疑応答

モニター観客のみなさまには、プレゼンテーションと演奏を聴いたうえで、質疑応答へのご参加、モニターシートへのご記入をお願いします。

採択企画 ※順不同

北爪裕道&深見まどか/Ravel Unveiled ラヴェル・アンヴェイルド

作曲家・北爪裕道と、ピアニスト・深見まどかは、2025年に生誕150周年を迎えるラヴェルを、現代の視点から「再想像/再創造」します。今回の「ワークインプログレス」では、特にダイナミックで音の色彩豊かな「ラ・ヴァルス」を読み解き、拡張ピアノ奏法によるアレンジや複数人の奏者が1台のピアノを囲んで演奏するスタイルで新たな表現を試みます。

出演:北爪裕道(作曲)、深見まどか(ピアノ)、篠田昌伸(作曲/ピアノ)、大瀧拓哉(ピアノ)、悪原至(打楽器)、高瀬真吾(打楽器)

北爪裕道(作曲)

ピアノ、指揮法、コントラバスなどを学び、東京藝術大学作曲専攻修了。パリ国立高等音楽院作曲科第一・第二課程およびIRCAM作曲・コンピュータ音楽課程をそれぞれ首席で入学および修了。様々な楽器奏法や電子技術の研究開発を伴いながらソロから管弦楽、電子音楽、インスタレーションなどを制作。帰国後、複数の大学で後進の育成にもあたる。

深見まどか(ピアノ)

東京藝術大学付属高、同大学を経て、パリ国立高等音楽院修士課程を首席修了。ロンティボー国際コンクール第5位&最優秀ラヴェル作品演奏賞、ブゾーニ国際コンクール最優秀現代曲演奏賞など受賞。サントリーホールサマーフェスティバル、オペラシティ「B→C」などに出演し活動の場を広げている。現在大阪教育大学ピアノ科非常勤講師。
photo ©︎studiOAR

nezumi/レクチャーパフォーマンスオペラ『音楽を聴く』

作曲家・高橋宏治が率いる〈nezumi〉は、「レクチャーパフォーマンスオペラ」の新作を準備中。日本語オペラの可能性を広げるために、ラップ、ポエトリーリーディングの技法や演劇の要素を応用しながら、書き下ろしの台本で「音楽とは何か?」という本質的な問いに迫ります。音楽、演劇、オペラ、レクチャーといった既存の表現の枠組みを自由に行き来する演出にご注目ください。

出演:高橋宏治(作曲)、河野咲子(台本)、金沢貴恵(歌手)、石田千飛世(ピアノ)

nezumi

作曲家・高橋宏治が主宰する、音楽・映像・写真・言葉を有機的に関連付けて新たな芸術環境の創造を目指す団体。演奏会の企画、映像製作、撮影等を行う。これまでに、オペラ『PLAT HOME』、『長い終わり』、現代舞踏とのコラボレーションや、ドキュメンタリーなどを制作。

紅葉坂プロジェクトVol.4 ワークインプログレス〈公開プレゼンテーション〉開催概要

新しい音楽が生まれる瞬間に立ち会おう「モニター観客」大募集!

2025年3月8日(土)17:30開場/18:00開始
神奈川県立音楽堂
事前申込制・入場無料・全席自由

主催:神奈川県立音楽堂(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会、公益財団法人野村財団、公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション

■チケット申込方法|1月18日(土)受付開始
□WEB
https://www.kanagawa-ongakudo.com/d/momijizakavol4
□電話
チケットかながわ 0570-015-415(10:00〜18:00)
□劇場窓口
・神奈川県立音楽堂(13:00〜17:00、月曜休)
・神奈川県民ホール/KAAT神奈川芸術劇場(10:00〜18:00)
※未就学児入場不可
※チケット発券手数料のお客様負担はございません。配送をご希望の場合は、送料460円を申し受けます。

紅葉坂プロジェクトVol.4「ワークインプログレス」フライヤー(表)

紅葉坂プロジェクトVol.4「ワークインプログレス」フライヤー(裏)

企画委員の講評

委員長 沼野 雄司

高橋宏治の企画は、レクチャーをシアター的な仕掛けのなかで扱って、一種のオペラ的空間を作るというもの(多分)。こうした作品では一種の「自己言及性」「相互浸透性」が重要になってくるが、本企画はそのツボをきちんと心得ている点で抜きんでていた。これまで培ってきた経験を活かすのはもちろんだが、さらに次の段階へのチャレンジを期待したい。一方、北爪裕道の企画は、ピアノ一台から可能な限り多彩な音響を導こうとする「拡張ピアノ」を軸に据えたもの。一見すると特殊奏法の延長線上にありながら、しかし大勢でよってたかってピアノを蹂躙することによって、次元の異なる世界が展開されるはず。この作曲家の美点であり欠点でもある「お行儀良さ」を越えられるかが鍵だと思う。

他にもいくつか面白い企画があったのだが(とりわけ、ダンサーに楽譜が与えられ、演奏者に振り付けが与えられるという企画)、最終的にその質に確信が持てず採択に至らなかった。応募者にはぜひ、できる限り具体的なかたちで企画を提示してほしい。

実は、最終的に2つの企画を選ぶ際に、われわれのなかでは若干の躊躇と議論があった。というのも、結果として、2組ともいわゆる「現代音楽」の作曲家による企画になってしまったからである。「紅葉坂プロジェクト」は古楽であろうがクラシックであろうが、あるいはポップスであろうが、対象を限定するものではない。単に「現代音楽」の催しと思われてしまうと少し困るので、来年はぜひ、さらに柔軟で幅広い企画の応募を望みたい。

企画委員 濱田 芳通

クラシック・プレーヤーは、いにしえの作品にリスペクトがあり、そこに優位性こそ認めているであろう。実際の演奏では、原典至上主義台頭の波を受けて以来、既に存在しない作曲家の意向に沿わんと、学問的に正統性を求める傾向が過剰になってきた。ここには、近い将来、断じて風穴を開けなければならない。そんな中、北爪氏の企画は私にとって象徴的であった。私の印象では、音楽神が作者と通じた瞬間の「道のり」のようなところを模索しているように思えた。これは全ての者に必要な姿勢だと感じるのである。更に、電気楽器を使わずにアコースティック楽器の特殊奏法に徹しているところも、前述のポリシーとリンクするような気がする。演奏もハイレヴェルなものが期待される。 もう一つ選出されたのは、高橋氏の企画で、彼の素晴らしい才能は既に関知しており、以前、実演も拝聴(見)させてもらった。私自身ものめり込んでいる「オペラ」という分野をどのように発展させてくれるかの期待感が高い。そして、こちらも高水準のパフォーマンスであることは間違いない。 他にも優れた企画が多数応募された。特に良かったのは、フルート&ダンスの企画で、私の好きなフリージャズ・グループをちょっと彷彿とさせるような、本当に上質で面白く、演奏も大変素晴らしかった。 また、トロンボーンをはじめ、楽器の限界に挑戦したものもあった。このような特殊奏法を常に極めようとする行為は素晴らしいと思う。 選出には演奏というより企画、そして作品が重視される面が強いので致し方ないが、今回、演奏面では秀逸なサウンドが多数聞かれた。

企画委員 湯山 玲子

『音楽を聴く』(仮)

ベートーヴェンの《英雄》や《田園》を聴くよりも、路面電車、自動車の、エンジン、騒々しい群衆が出しているような新たなタイプの音に向かうべきと言い放ったイタリアの未来派芸術家ルイージ・ルッソロの預言のとおり、気がつくと私たちの耳は、フリージャズやアンダーグラウンドなロックの文脈において発生したノイズ、DJ/クラブミュージックが牽引した音響という音圧と音質のサウンドをも「音楽」とみなしている。

音楽の境界は何か? どこまでが音楽と言えるのか? という問いかけは、本質的には非常に興味深く、面白い問題であって、今回の公演はそこのところに、レクチャーという「語り」をオリジナルな台本とともに据え置いたことに興味を持った。

企画者が意識したかどうかはわからないが、スマホ時代に急速に日常生活に入ってきたのがこのレクチャー(説明)という手法。「わからないことがあったら、すぐに意味をスマホで調べる」という、理解に対しての強迫観念は、今、そしてこれから、果たして「音楽」というそれ自体は意味を持たないものの聴き方をどう変化させていくのか? という問いでもある。

「語り」はそもそも物語や意味を伝えるものだが、その一方で、発語と発声という意味を超えたところのサウンドそのものでもある。ちなみに、文楽における義太夫、ラップはナラティヴといういう機能を果たしながらも、前者は三味線、後者はバックトラックという音楽に侵食する存在で、そのスタイルは大衆芸能の厳しい世界で洗練を極めた。つまり、あらかじめ今回の企画意図に対しての回答は存在している、という点を押さえておきたい。

果たして、今回の語られる台本とそのレクチャーの語り口には、どんなクリエイティヴが施されているのかを見てみたい。そして、この企画が、日本においては、あまりにもオリジナルな表現の土壌が脆弱なオペラのひとつの突破口になってほしいとの期待をも込めている。

 

Ravel Unveiled

拡張ピアノ奏法は、ピアノをピアノ自身から解放して新しい命を与える、といっていいほど魅力的なものであり、現代音楽の象徴的存在だが、それをあえて現在に、再提出しようとすることに面白さを感じた。

そう、ピアノという楽器は、クラシックの象徴であり、代名詞。減衰する音の問題はあるにせよ、鍵盤を駆使した和音の可能性、リズムや音量の自由度などで、表現力に関してはお墨付き、というのが定説だが、その一方で、その音色自体が膨大な過去の音楽コンテンツの蓄積のせいで、イメージが固定化。何を表現してもピアノワールドに回収されてしまう、因果な楽器でもある。

また、ご存じの通り、ピアノはリストの例にもれず、超絶技巧が大衆の心をつかむ楽器であり、コンクールにおいての優勝者ヒエラルキーは、まるでスポーツのオリンピックのよう(実際、近年のショパンコンクールの入賞者たちが我が国にもたらした、クラシック音楽熱は記憶に新しい)。冷静に考えれば、音楽性や芸術性とは全く関係ないポピュリズムが、ピアノという表現には常につきまとっているのだ。

企画者は、ラヴェルの『ラ・ヴァルス』のピアノ版に、オーケストラでは可能な豊かな表現が限定されてしまうことにもどかしさを感じたことが、企画のモチーフとなったというが、その解答が、そもそもサウンド自体から自由なクリエイションが可能な電子音楽ではなく(冨田勲のクラシック音楽に対するアプローチはそれ)、拡張ピアノ奏法方面にいく、という思考自体が、良くも悪くもピアノという楽器から自由になることができないクラシック音楽に対する開き直った批評であり、今回の企画が現実的に演奏されるときの、爆発ぶりに期待が持てる。

ということを踏まえての、2025年における拡張ピアノの響きは、その黎明期にあったはずのアンチテーゼやオルタナティヴといった異端、風変わりな感触ではない、もっと骨太で確信的な音楽として立ち現れてくるような期待感がある。

企画募集

2024.9.13 更新

シリーズ「新しい視点」紅葉坂プロジェクトVol.4 企画案募集!!

神奈川県立音楽堂の企画公募プログラム「紅葉坂プロジェクト」は、プロの音楽家のみならず、また演奏家、作曲家、プロデューサーかを問わず、70年の歴史を持つ音楽堂を舞台に、広く音楽の未来を切り開こうとする企画案を公募するものです。
あなたの企画で、これまでの音楽の景色を変えてみませんか。

選定企画委員

委員長 沼野雄司
(音楽学者/神奈川県民ホール・音楽堂芸術参与)

委員 濱田芳通
(古楽アンサンブル《アントネッロ》主宰、指揮、リコーダー、コルネット)

委員 湯山玲子
(著述家、プロデューサー、おしゃべりカルチャーモンスター)

対象

音楽大学卒業または同程度の実力を有する方から、プロとして活動している方まで

募集ジャンル

音楽、もしくは音楽を基軸とした他の芸術(美術や演劇、ダンス、映像、文学等)とのコラボレーションによる表現とします。
(いわゆる現代音楽企画に限りません)
募集要項は、以下からダウンロードいただけます。

募集要項(PDF形式/2,078KB)
予算書(xls形式/16KB)
予算書記載例(PDF形式/448KB)

応募フォーム
応募受付期間

2024年10月1日(火)~2024年11月20日(水)必着

【募集期間延長!】
2024年11月21日(木)18:00〜2024年11月26日(火)必着

結果発表

2024年12月13日(金)

お問い合わせ

〒220-0044 横浜市西区紅葉ケ丘9-2 神奈川県立音楽堂
「新しい視点」紅葉坂プロジェクト 企画募集係
TEL: 045-263-2567(火~日:9:00~17:00)

主催

神奈川県立音楽堂(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)

助成

文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会