紅葉坂プロジェクト

紅葉坂プロジェクト
2021年から音楽堂が放つ新シリーズ「新しい視点」。「紅葉坂プロジェクト」はクラシック音楽の常識、音楽の概念そのものを転回するアイデアを、企画委員の審査で選ぶ公募プログラム。未来の音楽シーンを切り拓く、キラリと光るアイデアが、皆様との出会いを経て成長していく過程をぜひ、応援してください!

Vol.3 本公演

日時

2024/7/20(土)15:00 開演(14:15 開場)

会場

神奈川県立音楽堂 ホール

料金

全席自由・税込 一般2,000円 シルバー(65歳以上)1,500円
U24(24歳以下)1,000円 高校生以下無料
車椅子席 2,000円(付添席1名無料)
KAme先行:2024/5/17(金) 一般発売:2024/5/18(土)

*未就学児の入場はご遠慮ください。
*シルバー、U24、高校生以下、車椅子(付添)は、チケットかながわのみで取扱い。無料券も含め、枚数限定、要事前予約。引き取り方法により手数料がかかります。
*チケット取扱:
 チケットぴあ[Pコード:270-454]
 イープラス
 ローソンチケット[Lコード:33401]

お問い合わせ

チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)

主催

神奈川県立音楽堂(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)

助成

文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
公益財団法人野村財団
公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション

シャトルバス

予約不要・運賃無料でJR桜木町駅前バスターミナルからシャトルバスを運行します。
乗り場はこちらをご覧ください。公演によって運行時間が異なります。
本公演の桜木町駅発車時間:①14:05 ②14:35

託児サービスあり

(有料・チケット発売日~公演1週間前までに要事前予約)
【お問い合わせ・申込先】
株式会社明日香
TEL 0120-165-115(土日祝日を除く10:00~17:00)
予約フォームはこちら

#1 音楽が「ぬ」とであふとき
小倉美春&上條晃
#1 音楽が「ぬ」とであふとき
小倉美春&上條晃

企画説明

「風立ちぬ」に代表される古代語の「ぬ」。日常生活では使われなくなってしまったこの言葉が持つ、さまざまな息づかいを作曲で掬う企画です。「ぬ」の回転そのものが遊んでいるような新作弦楽トリオ、「ぬ」の付く言葉たちが殆ど聞き取れない速さで駆け抜けていく声のための即興的新作、「ぬ」が本来持っていたゆったりとした流れを想い起こす《Zerfließen…》、「ぬ」が「ぬ」になるまでの経過を追随するような《「ぬ」についての考察I》。そこに、音象徴としての「ぬ」、身振りとしての「ぬ」をも交えた舞台作品を、一流の演奏家陣とともにお届けします。「ぬ」から力を得た音楽が、「ぬ」へと還っていくきっかけになればと思います。

  あなたの「ぬ」を教えてください!

  あなたの「ぬ」が採用されるかもしれません!

  「ぬ」アンケート https://forms.gle/zKQ9mc6DocKNXas98

【演奏曲目】

小倉美春:
短く速くくるり:3声のための新作(2024、世界初演)
入りまじるくるり:弦楽三重奏のための新作(2024、世界初演)
ゆつくりとながいくるり:Zerfließen… アコーディオンとクラリネットのための(2022、日本初演)
短くもながいくるり:「ぬ」についての考察I ソプラノ、アルト、テノール、クラリネット、ヴィオラ、トロンボーンのための(2023、世界初演)

【出演】
ソプラノ:薬師寺典子、溝淵加奈枝 テノール:金沢青児 ヴァイオリン:河村絢音
ヴィオラ:河相美帆 チェロ:山澤慧 クラリネット:片山貴裕
トロンボーン:直井紀和 アコーディオン:大田智美 指揮:金井俊文

【スタッフ】
後藤天(映像) 窪田翔、小林瑞季(舞台)

プロフィール

小倉美春&上條晃

小倉美春 
Miharu Ogura
ドイツ・フランクフルトを拠点とするピアニスト・作曲家。
2023年メシアン国際ピアノコンクールにて第2位・メシアン作品最優秀演奏賞を受賞するなど、ピアノと作曲の両方で入賞多数。ラジオ・フランス及びヴェネツィア・ビエンナーレなどから委嘱を受ける。2023年度ロームミュージックファンデーション奨学生。

上條晃 
Akira Kamijo
東京音楽大学付属高等学校国語科教諭。歌人。東京外国語大学外国語学部(ドイツ語専攻)、同大学院地域文化研究科修了。研究課題は一般教科と音楽の架橋。「古代語の「ぬ」と演奏 ― 東京音楽大学付属高等学校における国語教育の試みと展望 Ⅱ― 」(東京音楽大学研究紀要第46集)。短歌を馬場あき子に師事。

薬師寺典子
Noriko Yakushiji (ソプラノ)

東京藝術大学声楽科卒業後、ベルギーで学ぶ。ブリュッセル王立音楽院修士課程、ゲント王立音楽院上級修士課程現代音楽科、現代音楽アンサンブル Ictusアカデミー修了。現代音楽コンクール「競楽 XIII」第三位受賞。現代音楽を主なレパートリーとする傍ら、観世流能楽師の関根知孝氏に謡を師事。

溝淵加奈枝
Kanae Mizobuchi (ソプラノ)

香川県高松市出身。国立音楽大学卒業後、ストラスブール地方音楽院およびシュトゥットガルト音楽・演劇大学にて研鑽を積む。これまでにMaerzmusik、ドナウエッシンゲン音楽祭、ircam マニフェスト音楽祭などに参加。近年は即興や作品制作、アートフェスティバルのキュレーションなど幅広く活動している。

金沢青児
Seiji Kanazawa (テノール)

東京藝術大学大学院在学中の2017年、藝大フィル合唱定期演奏会にてバッハ《ミサ曲ロ短調》ソリストを務める。修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。2021年、クルシェネクの室内オペラ《信じること、その値段は》に出演。バロックから現代音楽まで幅広く活躍し、新作初演・日本初演も多数こなす。声楽アンサンブル「ヴォクスマーナ」メンバー。

河村絢音
Ayane Kawamura (ヴァイオリン)

桐朋女子高等学校音楽科を卒業後、パリ国立高等音楽院第一、第二課程ヴァイオリン専攻、第三課程現代音楽演奏科、フランクフルト音楽大学修士課程、東京藝術大学音楽研究科博士後期課程を修了し、博士(音楽)を取得。欧州の主要な現代音楽祭に出演する他、エレクトロニクス作品の演奏・研究に携わる。kasane主宰。

河相美帆
Miho Kawai (ヴィオラ)

桐朋学園大学音楽学部、フランクフルト音楽大学修士課程、IEMA修了。アンサンブル・モデルンやダルムシュタット州立歌劇場に首席奏者として定期的に客演する等、ドイツを拠点に活動の場を広げている。多様な文化や価値観にふれるなかで培った洞察力や柔軟性とともに一つ一つの作品と向き合うことを大切にしている。

山澤慧
Kei Yamazawa (チェロ)

古典作品の勉強を地道に重ねながら、現代音楽の演奏や作曲家への委嘱を積極的に行い、チェロの可能性を探求し続けている。
音川健二、藤沢俊樹、河野文昭、西谷牧人、鈴木秀美、山崎伸子、M.Kasperの各氏に師事。
藝大フィルハーモニア管弦楽団首席チェロ奏者、千葉交響楽団契約首席チェロ奏者。

片山貴裕
Takahiro Katayama (クラリネット)

東京藝術大学音楽学部卒業。ベルリン ハンス アイスラー音楽大学修士課程を最高点で修了後、パリ国立高等音楽院にて現代音楽とバスクラリネットを学ぶ。ヴィラムジカ財団およびルツェルン音楽祭アカデミー生。アンサンブル アンテルコンタンポラン、ブーレーズアンサンブル、読売日本交響楽団などにエキストラとして出演。

直井紀和
Norikazu Naoi (トロンボーン)

バーゼル音楽大学修士課程修了。バーゼル交響楽団の研修生を経て、2016年ブランデンブルク州立歌劇場コトブス2/3番奏者の契約団員として在籍。
現在は日本に活動拠点を移し、その活動は古楽から現代まで多岐に渡る。現在MCFオーケストラとちぎトロンボーン奏者、尚美ミュージックカレッジ専門学校非常勤講師。

大田智美
Tomomi Ota (アコーディオン)

幼少期よりアコーディオンを始め、国立音楽大学附属音楽高等学校ピアノ科卒業後渡独。
フォルクヴァンク芸術大学アコーディオン科ソリストコースを満場一致の首席で卒業、ドイツ国家演奏家資格を取得。御喜美江に師事。帰国後はクラシックや現代作品を中心とした幅広い演奏活動によりこの楽器の魅力と可能性を発信している。

金井俊文
Toshihumi Kanai (指揮)

欧州と日本を中心に指揮者として活動中。
桐朋学園大学、洗足学園音楽大学大学院、リスト音楽院大学院で学び、ハンガリー国立ブダペスト・オペレッタ劇場の副指揮者を経て、現在ハンガリー・ソルノク市立交響楽団正指揮者。
これまでにアラム・ハチャトゥリアン国際指揮者コンクールにて特別賞、上毛芸術文化賞、外務省在外公館長賞を受賞。

後藤天
Ten Goto (映像)

イメージフォーラム付属映像研究所、多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)修了。さっきょく塾元塾生。現代音楽の演奏会、美術分野のワークショップ、レクチャー等の記録映像の撮影と編集のほか、商業施設や映像のためのサウンドデザインなどを行っている。株式会社わっしょい取締役。

#2 マキシマム電子合唱団
マキシマム
#2 マキシマム電子合唱団
マキシマム

企画説明

マキシマム電子合唱団は、独自に開発した様々な楽器を操りながら演奏する声とエレクトロニクス、生楽器が融合した新しいタイプの合唱団です。合唱メンバーは、様々な楽器演奏のエキスパート達で構成され、歌と楽器を交互に演奏し、発声は地声を重視した新しい表現を探究します。
合唱団に登場する新しい楽器には、まるで演奏者から音の出ているかのようなウェアラブルガジェットや、特殊音律リアルタイム音程可変装置Isobe-Tune、指向性スピーカーIsobe-Shot、その他様々な特殊スピーカーなどがあり、それらを用いて合唱と生楽器とエレクトロニクスから生まれる人間の創造力と現代の最新技術を融合させた公演を行います。

【演奏曲目】
星谷丈生:電子合唱団と複数の楽器のための《菩提樹の詩》
磯部英彬:電子合唱団と複数の楽器のための《幸せの缶詰》

【出演】
合唱:亀井庸州(尺八、ヴァイオリン)、多井智紀(楽具)、近藤圭(ホルン)、菊地秀夫(クラリネット)、今井貴子(フルート)、高瀬真吾(打楽器)、迫田圭(ヴァイオリン)、星谷丈生、磯部英彬(エレクトロニクス)ほか

【スタッフ】
上原永美(舞台美術) 秋山大知(映像、電子デバイス制作)

プロフィール

マキシマム
Maximum

マキシマムは、作曲家、楽器製作者である磯部英彬が主催するエレクトロニクスとアコースティック楽器による可能性を探究する団体です。新しい楽器を発明、または既存楽器を改良してこれまで計8回のコンサートを開催し、様々な音楽家との協働作業を行ってきました。近年は、星谷丈生とともにIsobe-RailやHoshiya-Boardなどを開発。また2023年8月から学校教育向けのICT活用セミナーも行っています。

亀井庸州
Yoshu Kamei (合唱、尺八、ヴァイオリン)

2000年ごろから同世代の作品初演を中心に活動を開始。ベルギー王立リエージュ音楽院において、欧州の20世紀音楽や即興演奏を学ぶ。帰国後も同世代の作品初演に携わり、個人企画ほか都内主要ホール主催公演に出演し、作曲家の初演、再演を中心として活動している。また尺八の古典をはじめとした演奏を行なっている。

多井智紀
Tomoki Tai (合唱、楽具)

大阪生まれ、住吉区東住吉区育ち。チェロ科入学のため18歳で上京。以来20年放送業界レコーディング業、新曲実演、演奏会企画、自作楽器制作を行ってきた。チェロの他ヴィオラ・ダ・ガンバ、コイルチェロ、自作鞴、自作電気楽器を演奏する。

近藤圭
Kei Kondo (合唱、ホルン)

東京生まれ。東京大学附属中等教育学校卒業。広島大学教育学部音楽文化系コース(ホルン専攻)卒業後、東京学芸大学大学院を音楽教育(作曲)で修了。
これまでに古楽器をフィーチャーした『忘れられた楽器展』、現代曲のみでプログラムを構成するホルンリサイタル『問う』シリーズなどを主催。アーツカウンシル東京 令和2年度 第1期 東京芸術文化創造発信助成対象企画に選出。

菊地秀夫
Hideo Kikuchi (合唱、クラリネット)

桐朋学園大学卒業。日本現代音楽協会主催コンクール「競楽Ⅱ」にて第2位。ドイツ・ダルムシュタット音楽祭にて奨学生賞受賞。アンサンブル・ノマドの設立当初からのメンバーとして活動し現在に至る。また、星谷丈生氏と音楽企画・演奏ユニット「OFFICE でく」を設立。国立音楽大学及び尚美学園大学非常勤講師。

今井貴子
Takako Imai (合唱、フルート)

桐朋学園大学卒業後、渡仏。世界的フルート奏者のパトリック・ガロワの元で鍛錬を積み、Aulnay-sous-Bois 音楽院を一等賞を得て修了。欧州にて長きに渡り活動を行う。2022年より活動の拠点を日本に移し、バロックから新作初演まで、新しい響きの中で活動を繰り広げている。

高瀬真吾
Shingo Takase (合唱、打楽器)

東京音楽大学を開学以来初の三年早期卒業。カールスルーエ音楽大学大学院修士課程を修了後、平成29年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修としてカールスルーエ音楽大学大学院ソリスト科を修了。第3回三島現代音楽祭において、マイク・スヴォボダ作曲スネアドラム協奏曲を世界初演。

迫田圭
Kei Sakoda (合唱、ヴァイオリン)

東京音楽大学コンクール入選、第28回市川市新人演奏家コンクール弦楽器部門最優秀賞。プロジェクトQ第10章に参加。現在、おーけすとら・ぴとれ座にてコンサートマスターを務めている他、オーケストラトリプティーク、Green Room Playersにヴァイオリン、ヴィオラ奏者として在籍している。

上原永美
Emi Uehara (舞台美術)

一級建築士。株式会社上原一級建築士事務所 代表取締役社長。椙山女学園大学非常勤講師。
マキシマムでは演奏会の舞台建築美術・デザイン・オブジェ等を担当。
プロダクトから大小問わず空間の設計・デザインを行う。

秋山大知
Daichi Akiyama (映像、電子デバイス制作)

音響・映像エンジニア。エレクトロ・音楽ユニットmacaroomにて、エレクトロニクス担当。また、エレクトロニクス奏者として、現代音楽、実験音楽や即興等の音楽家ともコラボレーションをしている。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科非常勤講師。

Vol.3 ワークインプログレス

Vol.3の採択企画

Vol.3に向けては、23企画の応募があり、その中から、委員長・沼野雄司、企画委員・濱田芳通、湯山玲子によって、2企画が採択されました。
2024年3月23日(土)開催のワークインプログレス(公開プレゼンテーション)を経て、7月20日(土)に本公演を迎えます。

【採択企画】
小倉 美春&上條 晃/おんがくが「ぬ」とであふとき
マキシマム(磯部英彬、星谷丈生)/マキシマム合唱団
(五十音順)

●3/23(土)開催 ワークインプログレスでは、こんなことを行います!
①2組のアーティストによる企画案のプレゼンテーション・演奏
②企画委員によるコメント
③モニター観客⇔アーティスト 質疑応答

モニター観客のみなさまには、プレゼンテーションと演奏を聴いたうえで、質疑応答へのご参加、モニターシートへのご記入をお願いします。

採択企画 ※順不同

小倉美春&上條 晃/おんがくが「ぬ」とであふとき

「ぬ」、私たちはひとりひとり違う「ぬ」をもつ

「ぬ」、それはどこか切迫した緊張をもつ

「ぬ」、それはゆっくりとした大きな渦を描く

 

そんな古代語の「ぬ」が音楽と出会うときを、作曲家小倉美春が掬ってみました。

「ぬ」を書いてみましょう。「風立ちぬ」の「ぬ」です。

「ぬ」の記憶に入り、「ぬ」の息づかいを聴き、たくさんの「ぬ」を音楽をとおして生きてみる、そんな企画です。

※ワークインプログレス出演:小倉美春、上條 晃 

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あなたの「ぬ」を教えてください!

あなたの「ぬ」が採用されるかもしれません!

「ぬ」アンケート https://forms.gle/zKQ9mc6DocKNXas98

そしてあなたの「ぬ」を当日ホワイエで書いてください!

小倉 美春 Miharu Ogura

ドイツ・フランクフルトを拠点とするピアニスト・作曲家。2023年メシアン国際ピアノコンクールにて第2位・メシアン作品最優秀演奏賞を受賞するなど、ピアノと作曲の両方で入賞多数。2024年にはラジオ・フランス及びヴェネツィア・ビエンナーレからの委嘱作品を発表予定。2023年度ロームミュージックファンデーション奨学生。
写真クレジット:Sho Kubota

上條 晃 Akira Kamijo

東京音楽大学付属高等学校国語科教諭。歌人。東京外国語大学外国語学部(ドイツ語専攻)、同大学院地域文化研究科修了。研究課題は一般教科と音楽の架橋。「古代語の「ぬ」と演奏 ― 東京音楽大学付属高等学校における国語教育の試みと展望 Ⅱ― 」(東京音楽大学研究紀要第 46 集)。短歌を馬場あき子に師事。

マキシマム(磯部英彬、星谷丈生)/マキシマム電子合唱団

マキシマム電子合唱団は、マキシマムが開発するさまざまな創作楽器を操りながら演奏するエレクトロニクスと生楽器が融合した合唱団です。合唱メンバーは、楽器演奏のエキスパート達で構成され、一人一人が歌と楽器を交互に演奏し、発声法についても演奏者それぞれの声の個性を重視した発声や、演奏者から電子音などが出るウェアラブルセンサースピーカー、特殊音律調整装置などのエレクトロニクス創作楽器を用いることで新しい表現方法を探求します。

※ワークインプログレス出演:磯部英彬、星谷丈生、今井貴子(フルート)、高瀬真吾(打楽器)

マキシマム Maximum

マキシマムは、作曲家、楽器製作者である磯部英彬が主催するエレクトロニクスとアコースティック楽器による可能性を探究する団体です。新しい楽器を発明、または既存楽器を改良してこれまで計8回のコンサートを開催し、様々な音楽家との協働作業を行ってきました。近年は、作曲家 星谷丈生とともにIsobe-RailやHoshiya-Boardなどを開発。また2023年8月から学校教育向けのICT活用セミナーも行っています。
写真左:磯部英彬、写真右:星谷丈生

企画委員の講評

委員長 沼野 雄司

本年度は、応募数こそ多くなかったものの、内容としては過去にない激戦でした。審査員のなかでも様々な意見がとびかい、結果が二転三転したというのが正直なところです。いずれにしても、われわれが求めているのは、ファンダメンタルなあたらしさ、に他なりません。審査にあたっては、単に「現代音楽を演奏する」というだけでなく、そして単に「音楽と他の要素を足す」だけでもなく、表現のなかに根本的な問いかけがあるかどうか、という点を何よりも重視しました。

「おんがくが『ぬ』とであふとき」が優れていたのは、ひとつのひらがなの中に、日本と西洋をめぐるアイデンティティの闘争、そして時間と空間といったシリアスな問題を封じ込め、さらに観客をも巻き込んだ多層的なリアリゼーションが計画されている点でした。ただし、未知数・未完成な部分がまだまだ多く、これが本当に面白く充実したものになるのかは、今後のブラッシュアップ次第でしょう。

一方で「マキシマム電子合唱団」が優れていたのは、合唱団のメンバーに電子デバイスを装着させることによって、アンサンブル、声楽・器楽、身体と機械、といった、古くて新しい概念を再検討しようとする点にあります(「磯部マイク」といった用語の微妙なユーモアもプラスに働きました)。もちろん、一歩間違うと、ただの「ゲンダイオンガク」になってしまう可能性もなくはないのですが、こちらの企画についても審査員一同、可能性の側に賭けました。

ワークイン・プログレス、そして本番の日を楽しみにしています!

企画委員 濱田 芳通

この度の「紅葉坂プロジェクト」には沢山の応募があり、まずは応募企画の意図を真摯に受け止め、行動に移してくれた応募者の方々に御礼を述べたい。そして、選出された二組のアーティストにはお祝いの言葉を送りたい。審査はこういう場合には大変珍しく満場一致で決まった感がある。他審査員の先生方の意見はその全てが納得の行くものであり、大変気持ちの良い審査会であった。満場一致といっても他の応募と大きな差があったわけではない。最後は甲乙付け難い中から選ばせて頂いた。選出された二企画に関しては、他の先生方からその選出理由、期待度などが語られることだろう。私もほぼ同意見であると思うので、ここでは選出に漏れた団体について、また、総括的なことを書いてみたい。

応募は古楽、民族音楽、邦楽などから現代音楽にまで多岐に渡ったが、その中にモノオペラというかたちで、これからのオペラの向かう方向を暗示させるような作品があった。ピアノ作品との抱き合わせでの応募であったが、両方とも本物の個性を伴った極めて秀逸なものであった。シュトックハウゼンの大作に挑もうとする企画もあり、これも聴いてみたかったと思う。やはりクラシック音楽ホールでのこのような企画では、応募の主流は現代音楽ということになろうが、「新しい視点」が、これまでの現代音楽の流れに則り一歩踏み出した新しさなのか、大きく逸脱した新しさなのかは、どうしても問われてしまう。そして、革新的なことには大抵他ジャンルの力を借りることになるが、それが単なるコラボレーションに終始してしまうかどうかは、そのアーティストが音楽人生の中で自身と音楽をどのくらいよく見つめ、ブレずに向き合っているかにかかっているのではないかという思いを強くした。この審査の機会を与えられたことによって、とてもフレッシュな、最先端の音楽的アイディアを知る事ができたことに感謝したい。

「おんがくが『ぬ』とであふとき」 何より、日本人としてのアイデンティティとしての「ぬ」という着眼点が興味深い。西洋音楽における日本の在り方に留まらず、ここから日本の本来の姿の核心に迫って欲しい。

「マキシマム電子合唱団」 昔のSFのように、未来を感じさせつつ、同時に人間臭い魅力を持ち合わせていると感じた。どうなるかわからないワクワク感が並外れている!

企画委員 湯山 玲子

「もう、新しい事なんて何もない」。これは音楽だけでなく、すべての表現ジャンルがその言葉の前に立ちすくむ不都合な真実である。特に音楽はその先陣を切っており、無音、ノイズ、チャンス・オペレーション、電子音楽ありの「破壊と再生」は、ご存じの通りすでに芸術の殿堂入り。そんな状況下での「新しいこと」「聴いたことのないクリエイティヴ」の判断基準は何かと言えば、それは時代性にほかならない。時代と環境で人々の「耳」は変化し、クラシック音楽の演奏レベルでも、それが要求されているのが今、なのだ。

今回選ばれた2作品は、Youtubeやサブスクで膨大な音楽を大衆レベルが享受し、魅力的なバーチャルコンテンツの前に身体や人生が無化してもオッケーという感覚、自由よりも管理を求める心証など、従来的な人間性というものが揺らいでいるこの大変化期に生きる私たちの「耳」に対して、図らずも意識的な表現を備えている。

「おんがくが『ぬ』とであふとき」は、「ぬ」という発語を深掘りし、そこに音楽的なイマジネーションを加えていく作品で、コミュニケーション上に、すでに人々に膨大な「経験」がある一音を通じて世界を感じるというクリエイティヴな試み。漫画「北斗の拳」でお馴染みの「ひでぶ」という断末魔の擬音表記に心を動かされた大衆のセンスともシンクロし、ユーモアもある。

「マキシマム電子音楽」は、今後の演奏形態で多分、強度を増していく予感のある合唱を、電子デバイス付き身体という「分かりやすいハイブリッド」で表現。アイディアの新規性にのみ囚われずに、合唱音楽が潜在的に持ち続けている、匿名性と集団的陶酔感などの「魔力」が、この企てを経て浮き彫りになる現場を期待したい。

ちなみに、審査のポイントとして掲げられているのは、「クラシック音楽の常識、音楽の概念そのものを転回するアイデアである」ということだが、そこと格闘したというよりも、公募の予定調和とクリシェ(紋切り型)でこなした感がある作品も目立った。鑑賞者のセンスと知見の方が、創り手を遙かに凌駕している今、発表会ではなく、強度と魅力のある作品を世に出す意思に期待したい。

モニター観客のコメント、メッセージから

ワークインプログレスでは、モニター観客の皆様から、プレゼンの感想、企画への期待、企画者への激励の声などを書いたモニタリングシートを寄せていただきました。その一部をご紹介します。

#1 小倉美春&上條晃

古語にあったのに今はなくなった「ぬ」という時制の言葉について考えさせられた。それを音楽と結びつけるということがおもしろい。
お話は、そのアイデアにびっくり、音楽は何て美しい!
思いがけない発想を音楽に取り込んでいて、独創的であると思った。
これから先、「ぬ」を見る度、聞く度に今日のことを思い出す気がします。「ぬ」をテーマにした曲を聴くという人生初の体験に心が躍りました。
「ぬ」の発見、着目は大大大発見だと思う。大鉱脈を見つけたかもしれません。
音楽(バッハなど)に「ぬ」の作用素を掛けると、様々なバリエーションが生まれると思った。(時間、音調、混迷)7月公演が楽しみ。
こんな発想からの作曲、演奏があるんだということに。とても興味深かった。
発想の点では一番「なんだコレ!?」と興味をひかれている企画ですので、今後のブラッシュアップがとても楽しみです!応援しています。ぬ。
ただなら「ぬ」音、音楽を期待しています。
発想がとにかくユニークで素敵です。演奏も素敵でした。
とても面白くて意義のあるチャレンジ。成功を祈ります!
小倉さんの曲がとてもきれいで、ずっと聴いていたかったです。

#2 マキシマム

ほとんど現代的な音楽に接する機会がなく、また電子音楽についてももっと温度のないものだと思っていたので、とても聴きやすく楽しかった。
あまり電子楽器と合唱が結びつくという発想もなかったのですが、実際に見て、聞いてみると、瞬間瞬間に新しい発見があるように感じました。電子楽器を使って楽器や声といったものの可能性を一気にひらいていく企画だと思います。これまでの電子楽器のイメージは「既存の楽器・音楽のファンをおいていく」というものだったのですが、それをくつがえされました。
こんなにも演奏で情景が浮かぶとは驚きました。不思議な世界にいざなわれるような感覚になり、ゾクゾクしました。創作楽器が画期的で面白かったです。
今まで聞いたことのない音の響き。とても魅力的でした。
電子音楽というと味気ないイメージがあったりもするが、とてもプリミティブで呪術的というか原始宗教感があって、真っ暗な中でこれを聞かされたら、ハマっちゃうなーと思えた。
大変面白い:声と楽器、音の根源を探る試み。木目が指揮する心地良い映像。
このホールでしかできない(だからこそできる)ことをされているのが面白いと思いました。電子楽器を木目でできた古いホールで演奏すること、木の木目を演奏に活用することなど、このホールだからできる実験的演奏という点では、紅葉坂プロジェクトにとても相応しいと思います。
これまで電子音楽って敬遠していたが、初めて興味深く聴くことができた。AIの木目が指揮という発想も楽しい。
素材そのものを活かすというより、変換する、調整することにフォーカスされているのが面白いなと思いました。ホールの特性を活かすというのもオリジナル楽器という変容しやすさが活かされていていいなと思いました。
すばらしいコンセプト!Maximum電子合唱団は”素人の乱”ですね!合唱の破壊と再創造を期待しています。
電子機器、大掛かりな仕掛け、生身の人間の声、すべてが一体となって不思議なワールドを作り上げていた。

企画募集

終了しました

シリーズ「新しい視点」紅葉坂プロジェクトVol.3 企画案募集!!

神奈川県立音楽堂の企画公募プログラム「紅葉坂プロジェクト」は、プロの音楽家のみならず、また演奏家、作曲家、プロデューサーかを問わず、70年の歴史を持つ音楽堂を舞台に、広く音楽の未来を切り開こうとする企画案を公募するものです。
2024年、音楽堂70周年の記念すべき年に、あなたの企画で、これまでの音楽の景色を変えてみませんか。

選定企画委員

委員長 沼野雄司
(音楽学者/神奈川県民ホール・音楽堂芸術参与)

委員 濱田芳通
(古楽アンサンブル《アントネッロ》主宰、指揮、リコーダー、コルネット)

委員 湯山玲子
(著述家、プロデューサー、おしゃべりカルチャーモンスター)

対象

音楽大学卒業または同程度の実力を有する方から、プロとして活動している方まで

募集ジャンル

音楽、もしくは音楽を基軸とした他の芸術(美術や演劇、ダンス、映像、文学等)とのコラボレーションによる表現とします。
(いわゆる現代音楽企画に限りません)
募集要項は、以下からダウンロードいただけます。

募集要項(PDF形式/1,980KB)
応募票(xls形式/17KB)
記載例(PDF形式/480KB)

応募受付期間

2023年10月1日(日)~2023年11月20日(月)必着
※11/20は休館日のため、お問い合わせはお早めにお願いいたします。

結果発表

2023年12月15日(金)

お問い合わせ

〒220-0044 横浜市西区紅葉ケ丘9-2 神奈川県立音楽堂
ongakudo_oubo@kanagawa-af.org
「新しい視点」紅葉坂プロジェクト 企画募集係
TEL: 045-263-2567(火-日:9:00~17:00)

主催

神奈川県立音楽堂(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)

※Vol.2で実施した募集要項説明会・施設見学会は、都合により今回は実施いたしません。